腸・閉・塞ブートキャンプ 症例27

症例27

【症例】80歳代女性
【主訴】嘔吐、腹痛
【現病歴】数時間前より嘔吐あり。心窩部痛出現し、徐々に右下腹痛あり。その後も数回嘔吐あり救急搬送となる。
【既往歴】左大腿骨頚部骨折手術
【身体所見】腹部は膨隆しているが軟らかく圧痛なし。腸雑音はやや亢進。
【データ】WBC 12000、CRP 19.05

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今回は単純CTのみの撮影です。

小腸の拡張、液貯留、ニボー像を認めています。

 

閉塞機転はないでしょうか?

 

単純CTのみ、かつ、内臓脂肪が少ない方ですので、諦めそうになるかもしれませんが、こんな時こそ基本に忠実にということで、消化管拡張の系統的読影をしていくと・・・・

 

右閉鎖孔に腸管の逸脱・嵌頓を認めていることに気づきます。

そう、閉鎖孔ヘルニアです。

 

診断:右閉鎖孔ヘルニア嵌頓による小腸腸閉塞

 

※外科で手術となりました。

 

~~~~~~~~~~~~~手術記録より抜粋~~~~~~~~~~~~~

回腸は右閉鎖孔に嵌頓しており、一部が暗赤色となっていたが、全周性ではなく、Richter型ヘルニアと診断した。

腸管蠕動は良好であったため、腸管切除は行わず

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腸管壁の一部が嵌頓していたRichter型のヘルニアで、腸管壊死には至っていなかったため、腸切除は行われなかったとのことです。

関連:

その他所見:

  • 肝嚢胞あり。
  • 腎嚢胞あり。
  • 腰椎側弯あり。
  • 左大腿骨頸部術後。
  • 両側肩関節OA変化あり。
症例27の動画解説

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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