腸・閉・塞ブートキャンプ 症例34

症例34

【症例】60歳代 男性
【主訴】右鼠径部膨隆

【現病歴】1年程前より右鼠径部膨隆あり。自己にて還納可能だったため放置していた。3時間前より右鼠径部の脱出を認め、還納困難となり受診。
【既往歴】高血圧
【身体所見】右鼠径部に小児頭大の膨隆あり。弾性硬であり、用手還納は困難。左鼠径部にも膨隆を認める。脱出はなし。
【データ】WBC 15500、CRP 測定なし

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右鼠径部に腸管の逸脱を認め、造影不良を認めています。

また腸間膜の浮腫を認めています。

右鼠径ヘルニアの嵌頓および腸管虚血〜壊死が疑われます。

 

診断:右鼠径ヘルニア嵌頓(腸管虚血〜壊死疑い)

 

鼠径ヘルニアですが、内鼠径ヘルニアでしょうか?外鼠径ヘルニアでしょうか?

その判断には下腹壁動静脈とヘルニア門の位置関係が重要なのでした。

冠状断像を見てみましょう。

右鼠径部のヘルニアは下腹壁動静脈より外側から逸脱しているので、外鼠径ヘルニアと診断できる。

左は内側から逸脱しているので内鼠径ヘルニアと診断できます。

 

診断:右外鼠径ヘルニア嵌頓(+腸管虚血疑い)、左内鼠径ヘルニア

 

※外科で右鼠径部の手術となりました。嵌頓した腸管に壊死を認めており、約20cm切除されました。その後、本人の希望もあり、後日左鼠径部も手術が施行されました。

その他所見:

  • 腹部大動脈瘤あり。
  • 冠動脈石灰化あり。
症例34の動画解説

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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