腸・閉・塞ブートキャンプ 症例14

症例14

【症例】 90歳代女性
【主訴】 腹痛・嘔吐
【現病歴】今朝から左側腹部痛を認めた。 経過観察していたが、嘔吐を認めたため来院。
【既往歴】 子宮癌術後
【身体所見】 意識清明、BP 127/54mmHg、P 98bpm Sp02 95%(RA)、BT 35.8°C、腹部平坦・軟腸ぜん動音聴取良好、右下腹部圧痛(+) 反跳痛なし
【データ】WBC 9800、CRP 0.46

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小腸の拡張、液貯留、ニボー像を認めています。

閉塞機転はないでしょうか?

 

下腹部正中に閉塞機転を疑う所見が見つかります。

beak signを認めており、周囲には癒着を疑う所見を認めています。

また、閉塞機転に食塊を疑う所見、そのやや口側にわずかな(微妙ですが(^_^;))small bowel feces signを認めています。

単純だけでも十分診断はできますが、造影CTでより明瞭です。

閉塞機転の様子は造影でより明瞭ですね。

やや尾側のスライスを見ると、閉塞機転より肛門側の腸管が虚脱していることが分かります。

やはりこの部位が閉塞機転となっていることが確認できます。

closed loopを疑うような所見は認めておらず、beak signは1箇所のみです。造影不良を示す腸管ももちろんありません。

 

診断:癒着性腸閉塞

 

※食塊を疑う所見が先端にあるため癒着に伴う食餌性腸閉塞という診断でもよいかと考えます。

※保存的に加療され、退院となっています。

その他所見:

  • 動脈硬化あり。冠動脈石灰化あり。
  • 腎結石あり。
  • 単純CT横断像で44スライス目、造影CT横断像で126スライス目、単純CT冠状断で19スライス目、造影CT冠状断で84スライス目に腸間膜リンパ節腫大あり。サイズが目立ちフォローする必要あり。
  • 両側副腎やや腫大を認めており、r/o 転移として要フォロー。(コメントありがとうございます。)
症例14の動画解説

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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