
症例25
【症例】80歳代女性
【主訴】胸のつかえ感
【現病歴】約9時間前に食後から胸のつかえた感じあり、嘔吐あり、来院。
【既往歴】胃癌(全摘)、胆摘、虫垂炎
【身体所見】心窩部に圧痛あり、反跳痛なし。
【データ】WBC 5700、CRP 0.05
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小腸の拡張、液貯留、ニボー像を認めています。
閉塞機転はないでしょうか?
食道内などから認めている残渣のような構造を認めているため、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、small bowel feces signがやや目立つ部位が下腹部正中〜やや右側にあることがわかります。
そして、その先で腸管が細くなっており、同部に閉塞機転があることがわかります。
術後ですので、癒着が最も疑われます。
診断:癒着による(機械性単純性)小腸腸閉塞
※保存的に加療されました。
ところで上の方で拡張が目立つ部位があります。
ここにはペッツを認めており、盲端となっている輸入脚であり、同部に拡張を認めていることがわかります。
胃全摘後のRoux-en-Y再建は以下の通りです。
この輸入脚にも今回は拡張を認めているということです。
同部は盲端ですので、閉塞機転ではありません。
その他所見:
- 胃全摘後。
- 胆摘後。
- 肝内胆管の拡張軽度あり。胆摘後影響。
- 石灰化子宮筋腫疑い。
症例25の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。

輸入脚があると追いかけるのが複雑になるから難しいです。全然違うところがねじれていると思ってました。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
輸入脚が拡張していると、盲端となっているので閉塞機転のように見えてしまうので注意が必要ですね。
関連サイト「胃癌の手術の方法は?再建方法まとめ!」を拝見しましたが、胃の手術がとてもわかりやすくイメージできました。ありがとうございます。
アウトプットありがとうございます。
>関連サイト「胃癌の手術の方法は?再建方法まとめ!」を拝見しましたが、胃の手術がとてもわかりやすくイメージできました。
そのように言っていただきありがとうございます。
イラストレーターに依頼して作成した甲斐があります。
わかりやすいためか、このように無許可転載いただいております(^_^;)
https://aiiku-hp.or.jp/m/geka_igan/
術後再建や全体的な拡張、残渣により特定が難しかったです。
消化器系の吻合は理解しないと読影がちんぷんかんぷんになるので、参考の再建まとめが非常に勉強になります!
アウトプットありがとうございます。
Billroth Ⅱ法とRoux-en-Y法で十二指腸が盲端となるということを理解しておけば混乱しませんね。
たしかに再建方法によって拡張する腸管のすがたも変わりますよね
あまりこれまで意識してませんでした。
アウトプットありがとうございます。
盲端となる吻合の仕方には注意ですね。
オペの再建方法の知識が頭に入っていないと混乱してしまいますね。復習します。
アウトプットありがとうございます。
是非リンク先で復習しておいてください。
いつもありがとうございます。横断像4相目(206~275/275)には何か所見はあるのでしょうか?どのような病態をチェックする目的で撮影されるのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
4つめは3相目のウインドウを変更したもので4相目ではありません。
ガスが多いのでfree airがないことや脂肪とのコントラストを付けるために追加しました。ややこしくて申し訳ありません。
症例ありがとうございます。small bowel feces signから小腸閉塞症と診断できました。
継続は力なりですね。おかげで、日々の診察の際も以前より根拠と自信をもって診断できているのではと感じています。
アウトプットありがとうございます。
>継続は力なりですね。おかげで、日々の診察の際も以前より根拠と自信をもって診断できているのではと感じています。
嬉しいお言葉ありがとうございます。
残り症例もよろしくお願いします。
胃全摘後でありおそらくRoux-en-Y再建と思って読影し,盲端および食道空腸吻合部は見つけられたのですが,空腸空腸吻合部は見つけられませんでした.CT上どこにあるのか,ご教授いただけると幸いです.
またこちらの症例では食道空腸吻合は端側吻合ではなく端端吻合という解釈で合っていますでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
吻合部はペッツを手がかりに見つけるくらいしかできないのですが、それが今回、空腸空腸吻合部でははっきりしませんので、どこなのかははっきりしません。ペッツがなくても症例によっては追えるのですが、今回は拡張が強くちょっと厳しいと思います。
>またこちらの症例では食道空腸吻合は端側吻合ではなく端端吻合という解釈で合っていますでしょうか?
同部の繋がり具合を観察すると端端吻合ですね。
いつも貴重な症例ありがとうございます。
胃全摘後のRoux-en-Y法で十二指腸を残して空腸と吻合させているのは、逆流性食道炎を防ぐためですか?
基本的なことですみません。
アウトプットありがとうございます。
胆汁膵液を流すためにも十二指腸を残す必要があります。
盲端も一種の閉塞機転?
と考えたら、
術後盲端部にも小腸内糞便サインがあるという考えでいいでしょうか…?
アウトプットありがとうございます。
閉塞機転というのは、進行方向を妨げるものですので、盲端をそのようには考えません。
小腸内糞便サインは最も目立つところを探すのがポイントで、少しでも見られればそこが閉塞機転というわけではありません。
輸入脚には輸入脚症候群が起こることがあるのでその点には注意が必要です。
関連
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/15964
いつも大変勉強になります。ありがとうございます。
221/275あたりのairがfree airでないと自信もっていうには、どこで判断すればよいですか?
アウトプットありがとうございます。
上下に腸管と思われる構造があること(特に冠状断像で)
free airがあるならば他の場所にも認めていることが多いこと
腸閉塞とfree airを同時に認めることはそれほど多くないこと
ですかね。
いつも勉強させていただいております。
冠状断の14-18あたりで、今回の閉塞機転よりも下の腸管でもcaliber changeしているように見えました。
閉塞起点が2つある?と迷ったのですがいかがでしょうか
アウトプットありがとうございます。
どこのことをおっしゃっていますか?
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/training/wp-content/uploads/2021/03/adhesive-intestinal-obstruction-case25-3.png
こちらの冠状断像の三日月状のピンク色の下の部分ということでしょうか?
3歩進んで3歩下がる日々、久しぶりの正解です(^▽^)/ small bowel feces signは今回の講座で習得できたような気がします。
やっぱり、出戻りの選手が活躍してくださるのはうれしいですね。個人的には、かなり逆風もあるようですが、田中選手の200勝は達成してほしいと思っています。やっぱり、MLBとNPBでは1段レベルの差があるのかなぁ、と感じる日々です。。
アウトプットありがとうございます。
>久しぶりの正解です(^▽^)/ small bowel feces signは今回の講座で習得できたような気がします。
正解されてよかったです。今回は綺麗なbeak signは認めませんでしたが、small bowel feces signが手がかりとなりましたね。
>メルマガ内容
田中選手もだいぶ年俸下がっていますが200勝達成して欲しいですね。
ダルビッシュ投手も今日勝ったので200勝王手ですね。
今回の症例で、空腸-空腸吻合より近位の本幹?(輸入脚じゃない方)を追うことはできますか?
アウトプットありがとうございます。
輸入脚を肛門側に追うと、143 / 275あたりで拡張がなくなり、その手前にsmall bowel feces signがあるので、このあたりが吻合部なのだと思われます。食道から追った腸管もこのあたりまでは追えますし。ただどのように吻合されているかまでは確認できませんね。