
症例9
【症例】 60歳代女性
【主訴】むかつき、みぞおちの痛み
【現病歴】3日前よりむかつきがあり、食事がとれない。
【既往歴】糖尿病
【身体所見】発熱なし、心窩部圧痛軽度あるも、腹膜刺激症状なし。
【データ】WBC 7400、CRP 1.92
画像はこちら
小腸の拡張、液貯留を認めています。
閉塞機転はないでしょうか?
小腸内に残渣構造があり、同部が閉塞機転となっていることが分かります。
ただし、通常みられるsmall bowel feces sign(小腸内糞便サイン:小腸内の液貯留内にプツプツとairを認める)とは異なり、塊(食塊)があるように見えます。
診断:食餌性腸閉塞疑い
※一旦保存的に加療されましたが、改善を認めないため外科で手術となりました。
局所的な腸切除が行われ、取り出されたのが・・・・・
柿胃石でした。
普段から柿を食べる習慣があり、柿胃石が形成され、それが小腸内に落下して腸閉塞となったということです。
その他所見:
- 腎嚢胞あり。
- 少量腹水あり。
症例9の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。

食事性の場合、狭窄部が高吸収を示すとわかりやすいのですが、低吸収を示すときもあるで注意が必要ですね。
アウトプットありがとうございます。
確かに餅などの高吸収の場合はわかりやすいですね。
低吸収な場合は今回の症例のようにsmall bowel feces signよりも塊感が強い(単なる便ではない)特徴がありそうですね。
言われてみると確かにsmall bowel feces signよりもブツブツが少ないですね。
食餌性=高吸収とばかり思っていました。
勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
>言われてみると確かにsmall bowel feces signよりもブツブツが少ないですね。
そうですね。便+液体貯留で見られることが多いですが、今回の場合は液体が少なく固形であることが予想されますね。
>食餌性=高吸収とばかり思っていました。
餅などは高吸収になりますが、そうでないものの方が多いです。
腸管を追っていると画像が飛んでしまい閉塞起点は分かりません
アウトプットありがとうございます。
画像が飛ぶというのはどういう意味でしょう?
今一度確認しましたが画像の抜けなどはなさそうです。
症例ありがとうございます。
”small bowel feces sign様で塊感がある”=食餌(胃石)がポイントだったんですね。
柿の後には、コーラを飲んだ方が安心でしょうか(笑)。
次の症例を楽しみにしております。
アウトプットありがとうございます。
>”small bowel feces sign様で塊感がある”=食餌(胃石)がポイントだったんですね。
おっしゃるとおりです。
>柿の後には、コーラを飲んだ方が安心でしょうか(笑)。
それよりもよく噛んで食べた方が安心ですね(笑)
small bowel signと少し似ている胃石でしたが、
同じスライス(103/130)で直腸内に見られるものも同じように見えます。
胃石が通過して直腸まで到達したものでしょうか。
それとも単なる便塊でしょうか。
アウトプットありがとうございます。
>同じスライス(103/130)で直腸内に見られるものも同じように見えます。
胃石が通過して直腸まで到達したものでしょうか。
それとも単なる便塊でしょうか。
糞便構造が小腸に見られるのは異常ですが、結腸や直腸に見られるのは普通です。
確かに同じように見えますが、おそらく単なる便塊だと思います。
Single obstructionの場合
・閉塞部位の腸管壁が肥厚している→内因性(intrinsic lesion) (腸管壁そのものに病態があって閉塞しているタイプ)
・閉塞部位の腸管壁が肥厚していない→外因性(extrinsic lesion) (腸管壁外の状況によって閉塞するタイプ)
・閉塞部位のすぐ口側内腔に“物”がある →異物(intraluminal bodies)(閉塞の原因は腸管内腔の物質にある)
のように考えればよい
“物”はかならずしも異常な“物”とは限らず,海藻やキノコなどの消化の悪い ものが詰まる(food impaction)こともある.
「ブラッシュアップ急性腹症 第2版」より
急性腹症についてどう診れば良いのか悩んでいたのですが、この本ヤバいです。
画像診断についてもとても詳しく載っています。
アウトプットありがとうございます。
>・閉塞部位のすぐ口側内腔に“物”がある →異物(intraluminal bodies)(閉塞の原因は腸管内腔の物質にある)
のように考えればよい
“物”はかならずしも異常な“物”とは限らず,海藻やキノコなどの消化の悪い ものが詰まる(food impaction)こともある.
まさに今回はこれですね。
small bowel feces signとfood impactionの区別が難しいこともありますが。
>急性腹症についてどう診れば良いのか悩んでいたのですが、この本ヤバいです。
画像診断についてもとても詳しく載っています。
ありがとうございます。買ってみます(^^)
なんとなーく覚えはあったのですが、食餌性とする自身もなく、ふわっとした回答にしてしまいました。
ただ、たまに妄想で読影が暴走してしまいますが、そこまでいかなかったことはよかったかな、と思います。
アウトプットありがとうございます。
閉塞機転が分かれば問題ないのですが、small bowel feces signを同部のみに認めており、それが目立つと言う点にもできたら気づきたいところです。
妄想が暴走されなかったようでよかったです!
腎辺縁がやや不整な気がしますが、有意でしょうか?
腎硬化症などを考えましたが高血圧の既往はなさそうですね。
アウトプットありがとうございます。
>腎辺縁がやや不整な気がしますが、有意でしょうか?
おっしゃるように両側の腎辺縁がやや不整ですので指摘しても良いと思います。
両側少し造影不良にも見える部位もあり、慢性的に尿路感染を繰り返している可能性もありますね。
ただし現状は、萎縮や明らかな瘢痕を疑うような変形は認めていません。