腸・閉・塞ブートキャンプ 症例20

症例20

【症例】 60歳代男性
【主訴】 腹部膨満、嘔吐
【現病歴】5日前頃より倦怠感を認め食事量減少し4日前の朝嘔吐、食事摂取困難となった。 3日前近医受診し点滴施行され整腸剤などを処方された。 当日他院を受診し、腹部膨満著明、炎症反応の上昇(CRP10.8、WBC11200)あり、紹介受診となる。
【既往歴】 躁うつ病(抗精神病薬多数内服あり)
【身体所見】 意識JCS1 受け答えがはっきりしないBP 111/57mHg、 P 67bpm、、BT35.2°C、SpO2 97%(RA)、 腹部:膨隆、打診で鼓音あり、全体的に圧痛有り、腸蠕動音(-)、反跳痛ははっきりせず。
【データ】WBC 11400、CRP 14.20

画像はこちら

小腸の拡張、液貯留、ニボー像を認めています。

閉塞機転はないでしょうか?

画像をスクロールすると、あるものに気づきます。

小腸内に異物を疑う著明な高吸収の物体があり、それが閉塞機転となって腸閉塞を来していることがわかります。

 

診断:異物による小腸腸閉塞

 

※ではこれは一体なにでしょうか?異物による腸閉塞では、義歯やボタン電池、PTPなどが知られていますがそれらではなさそうです。

※一旦保存的に加療されたのですが、異物が停滞したため手術となりました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~手術記録より抜粋~~~~~~~~~~~~~~~~~~

回腸に約5cm×3cmの硬い腫瘤を触知した。

一部異物の角が腸粘膜を圧迫し穿孔しかけていたので、腸切開にて異物除去を行う方針とした。

異物の内容物はアルカリ性の乾燥剤であった。

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ということで、乾燥剤が閉塞機転になって腸閉塞を来していました。

術前のCTからはちょっと乾燥剤を想定するのは厳しいかと思います。

精神疾患があり、それで誤飲したのではないかと推測されます。

 

その他所見:

  • 食道壁肥厚あり。→内視鏡で異常所見なく、乾燥剤が通過した際の一過性の浮腫か?
  • 脂肪肝あり。
  • 胆石あり。
  • 少量腹水あり。
  • 右副腎に偶発腫あり。腺腫疑い。(コメントありがとうございました。)
症例20の動画解説

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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